中山達也氏

名前:中山達也(芝浦・牡丹 2011年6月)
生年月日:昭和27年10月26日東京都生まれ。
所属団体:甲州屋庖清会
所属店舗:芝浦・懐石「牡丹」勤務

【この道に入った年月と動機】

昭和46年2月、進学の気もなく、就職活動もせず、アルバイトと柔道と遊びにふけっていた時、母の口添えで行った所が小松﨑剛先生の東京會舘「さがみ」でした。学ランに身をくるみ、先生の出勤まで諸先輩方の仕事を見ており、その迫力、気力、やりとり、庖丁さばき等に感動し、その上、先生が出勤してきた時の全員の緊張感・・・。そこに素晴らしい魅力を感じたのがきっかけでした。

【自らの抱負】

人を使う立場になると、「今の若い者は・・・」と言いがちな人が多いですが、基本的には使い方がいけないと常々自分に言い聞かせています。また、飽食の時代になり、新しいモノばかりを追いがちですが、あくまで伝統ある日本料理の本来の良さを探求し、残しながら、その時代の客層に合うように纏めあげる事が重要と思います。まさに「温故創新」です。

【修業中の人達に望む事】

今年はこの仕事をマスターするぞというように、具体的目標を立てて、夢、希望を持ち、日々邁進してほしいと思います。また、疑問や分からない事があればもっともっと先輩たちに質問なり難題をぶつけて下さい。(ただし、自分なりの勉強も忘れずに)そして、元気よく、明るく仕事をしてもらいたいと思っています。
今回の展示会の献立、実はちょうど3月10日に出来上がっていたのですが、ご存知のように翌11日に大震災が発生しまして。私自身、被災地には知り合いも多くいますし、うちの若い子の中には家族が渦中にある者もいましてね。どうしても気持ちがそちらの方から離れなくなってしまって。急遽、献立を立て直させていただきました。




「一日も早い復興を願って」被災地の郷土料理と食材を使って

先付 1.気仙沼えいひれ煮凝 2.岩手帆立貝若布重ね押しほろほろ掛け 3.三陸ほや仙台味噌漬
1.八戸うにいちご煮
焼物 1.いわき目光仙台味噌魚田 2.宮城ずんだ白玉 3.笹蒲鉾水戸納豆焼
煮物 1.釜石さんま岩手松藻豆腐 編笠大根 2.南部鮭黄身煮 風待月青菜
1.常磐鮃紙塩昆布〆 2.三陸赤貝白板挟み 葛かけ共腸 3.茨城ふななます 香煎煎り酒酢 辛子オイル
先付1
気仙沼といえば鱶鰭を思い浮かべる方が多いですが、私は普段からえいひれを使うことが多いんです。生のものを大きいまま煮付けて大皿に盛ってお出しすると皆さん驚かれますよ。おつまみのエイヒレのイメージしかないからでしょうね。召し上がる前から大変喜んでいただけます。そしてほや、三陸では欠くことのできない食材ですね。初めて口にした時は、正直「何だこれは?」と思いましたが「ほやを美味しいといわない奴は酒を飲んじゃ駄目だ」と地元の人に怒られまして・・・それから何度も口にするうち、気づいたらすっかり大ファンになっていましたね。

椀はいちご煮です。東京でやるとずいぶんと贅沢なお椀ですね。私達はどうしても吸口に柚子だの木の芽だの使いたくなってしまうところですが、地元の方によるといちご煮には必ず、打ち紫蘇だそうです。今回は6月らしく水仙葛を被せ、その上に紫蘇を載せました。椀の下には時季ではありませんが南天をちらしました。これは”難”を”転”じますようにとの私の願いを込めました。
焼物
焼物もそれぞれ被災地の食材を使って。いわきの名産目光に、仙台味噌と芽かぶ。宮城のずんだ、仙台の笹蒲鉾と水戸納豆、みんな元気を出してくれよ、ということで。
煮物
煮物の釜石さんまも、旬は外れていますが敢えて使わせていただきました。岩手の松藻を裏漉しした豆腐などと合せて鋳込みます。

鱠には常盤鮃を。震災以前から、鮃は特に色々な報道がされましたね。これも是非応援したくて。鱠を召し上がっていただく際の辛子オイル、今回唯一これだけが現地の物ではありません。インド産です。生でも炒めても、またどんな食材にも合うので近頃気に入って使っています。